Romeo and Juliet -ロミオとジュリエット-

いえーいどんどんぱちぱち👏

「永遠を煌めけ」6回目が回ってきましたー!

いちごです!

 

さて。

開演前のグローブ座に漂う神聖な空気。誰もが舞台の始まりに胸を躍らせ、これから始まる3時間15分の素敵な時間を全身全霊で楽しもうとパンフレットを読む。そしてその素敵な時間は唐突に始まりました。

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3月29日。

道枝駿佑くん主演舞台の「Romeo and Juliet -ロミオとジュリエット-」初日を観劇させていただきました。

 

 

舞台「Romeo and Juliet -ロミオとジュリエット-」

原作:ウィリアム・シェイクスピア

翻訳:松岡和子

演出:森新太郎

東京公演 @東京グローブ座

2021年3月29日(月)~4月18日(日)

大阪公演 @梅田芸術劇場

2021年4月21日(水)~4月25日(日)

 

あらすじ

中世イタリアの都・ヴェローナでは、長年にわたっていがみ合いを続けているキャピュレット家とモンタギュー家があった。 ある日、キャピュレット家で行われた仮面舞踏会にモンタギュー家のロミオとその友人たちが忍び込む。そこでロミオはキャピュレット家の一人娘・ジュリエットと出会い、瞬く間に恋に落ちてしまう。
互いが対立する両家の者だということを知った二人はショックを受けるものの、それでも二人の愛は変わらなかった。若き二人の純粋な愛を知り、この二人が両家の争いに終止符を打つかもしれないと期待したロレンス神父のもと、ロミオとジュリエットはひそかに結婚式を挙げた。
その矢先、友人たちと一緒のところを喧嘩に巻き込まれてしまったロミオ。なんとそこで、ロミオの親友・マキューシオがキャピュレット夫人の甥・ティボルトに殺されてしまった。親友を失って怒り狂ったロミオはティボルトを逆に殺め、これによって両家は一触即発状態となる。ことを穏便に収めるべくヴェローナ大公は、ロミオをヴェローナから追放する。
仲を引き裂かれてしまったジュリエットに、二人の良き理解者であったロレンス神父は一計を授ける。しかしそれは後に、純粋な若き二人を大いなる悲劇へと導いてしまうのだった……。(Romeo and Juliet 公式HPより)

 

 

 

 

シェイクスピアの代表的悲劇としてあまりにも有名なロミオとジュリエット

これまでにも多くの名優たちが演じてきた古典作品に、10代ながら主演を任された道枝駿佑くんと茅島みずきちゃん。森監督の素敵な演出の元、10代しか持ち合わせない飾らない若さを武器に、たくさんの素敵な俳優さんたちに囲まれ、その悲劇を演じられていました。

 

 

 

 

 

序盤。ロミオがベンツェーリオにロザラインへの熱い恋心を語るシーン。

客席後方から登場したロミオにザワつきます。青ジャケット白シャツ青ベレー帽。最高。スポットライトを当てられ、柔らかな表情を浮かべるロミオは、この世に存在しないのではないかと思うくらい儚い表情をしていました。しかし、ロミオの目にはロザラインの姿しか映っていません。ロミオの恋に生きようとする心を感じることができました。

 

「俺一人の悲しみで胸が潰れそうなのに、君の分まで背負ったらどうするんだ」

ロミオとベンツェーリオの掛け合いの中にこのようなセリフがありました。

この舞台の中のセリフには、時々後に待っているロミオとジュリエットの死を暗示するような伏線らしいセリフが多く含まれていますが、このセリフもその中のひとつなのかなと思いました。

例えば誰かが死んだ時、みんな揃って悲しみに暮れていなければ、周りの空気感が重いものになりすぎず、ロミオとジュリエットが死を迎えることもなかったのではないか。そんな風に思わせるセリフだと思いました。

 

「その素晴らしい美人よりもっと素晴らしい美人を思い出すだけだ」

これもまた、ロミオのセリフですが、これはロミオの熱しやすく冷めやすい性格が顕著に表現されているのかなと。

しかし実際、ロザラインに会うためにキャピュレット家の舞踏会に仮面を被り乗り込んだロミオは、ジュリエットの美しさに心を奪われるのがとてもロミオらしいというか。

 

 

 

 

 

ロミオがジュリエットに一目ぼれするシーン。

舞踏会に訪れる客人がトルソーで表現され、その演出がロミジュリらしいおしゃれな雰囲気というかを感じさせられました。個人的にはトルソーで客人を表現する演出がとっても好きでした!あくまでもあの舞踏会はロミオがジュリエットに一目ぼれすることが1番のメインなので、そのロミオの世界観がとてもオシャレに表現されていて、たぶんこのロミオとジュリエットを観劇した人の多くが思い出すことのできる素敵な場面だったと思います。

 

舞踏会が終わる頃、庭で出会うロミオとジュリエット

「僕の穢れた唇を君の唇に重ね、その罪を清めよう」

そういって口付けを交わす2人。1度目は軽く、そして2度目はお互いの頭や肩を支えながら、ゆっくりと、深く。

それほどまでに言葉は交わしていませんが、お互いになにか感ずるものがあったのでしょう。2人の口付けは儚くも美しいものでした。

正直道枝担としてはここが1番の山場ですよね笑。雑誌でも道枝くんがおっしゃっていましたが、本当に"飢えた犬"のようで。残念ながら私の座っていた席からは口元はハッキリ見えませんでしたが、血管を感じる細くもしっかりしたロミオの腕、力強くも優しくジュリエットの頭を抱える大きな手、そして口付けのあとに見せる恥ずかしそうながらも嬉しそうな顔。それでも少しまだ不慣れそうで遠慮がちなキスの仕方。本当に"道枝くんらしいキス"だったと思います。今の私の心境としては、私も早く口元しっかり見たい!です笑。

 

この口付けを交わした時、ロミオもジュリエットも相手がどこの誰なのか、まだ知りませんでした。そして乳母からお互いの正体を知らされ、戸惑いながらもこの恋は止められないと思ってしまう2人。

少しずつ、これから待ち受ける悲劇の始まりに近づいていきます。

 

 

 

 

バルコニー。

キャピュレット家の塀を乗り越え、窓からこぼれる光から現れるジュリエットに目と心を奪われるロミオ。

「向こうは東!ジュリエットは太陽だ!」「星座になったあの人の目は、空に光を当てさせ、昼と見間違う明るさに、鳥たちはさえずりだすだろう!」「あの手を包む手袋になりたい!そうしたらあの頬に触れることができるのに…」

ロミオはジュリエットを目の前に熱い恋心を抑えることができません。

 

「どうしてあなたはロミオなの?モンタギューって何?」「名前を捨てて!あなたの体のどこでもないその名前を捨てて私の全てを受け取って!」

対してジュリエットはロミオがモンタギュー家の人間であることを恨むわけではなく、名前とは何なのか。名前などなくてもロミオはロミオだ。ただそれを疑問に思い、それ以上にロミオのことを熱い恋心で想います。

 

「誰の手引きでここへ?」「恋の手引きで」

「恋の軽い翼で塀は飛び越えた。石垣などでは恋を締め出すことはできない。」

これはバルコニーのシーンでのロミオとジュリエットの掛け合い。この舞台の中で、ロミオとジュリエットは「恋」という表現を使います。決して「愛」ではない。それがまだロミオとジュリエットの恋心が始まったばかりであることを表しているようで。

 

夜が開ける直前。バルコニーから庭にいるロミオに手を伸ばすジュリエットと、少し背伸びをしながらその手に自身の手を重ねるロミオ。

別れを惜しみ、明日教会で密かに結婚を誓うことを約束した2人。スポットライトの光は闇夜に輝く月夜の光のよう。

なぜロミオをもう一度呼び出したのか分からなくなってしまったジュリエットに対して、一生忘れたままでいいと、少しでもジュリエットとの時間を過ごしたいと願うロミオ。

お互いを思いやってやまない若い2人は、神父と乳母の協力のもと、結婚の愛を誓うため、教会で落ち合うことを約束します。

 

 

 

 

 

教会での結婚式。

誰に言うわけでもなく、教会で永遠の愛を誓う2人。ロミオの親友であるマキューシオやベンツェーリオは最後までロミオがジュリエットのことを愛していることさえ、知りません。

 

「激しい喜びには激しい終わりが待っている」

神父のセリフですが、前述したようにこのセリフもロミオとジュリエットの未来に待っている死を暗示しているものだと思います。

ロミオは熱い恋心を抑えきれず、教会に現れたジュリエットに全力で近づこうとし、キスやハグをしようとしますが、神父に止められます。どんなシーンであっても、ジュリエットへ自分の恋心、ジュリエットと一緒にいたいという気持ちを抑えることなく、直接伝えようとするロミオから、シャイと言われる私たち日本人が学ぶことも多いかもしれません。

 

 

 

 

 

マキューシオとティボルトの決闘。

ロミオは争いを始める2人を抑えようとしますが、それが叶うことはなく、マキューシオは殺されてしまいます。マキューシオの最後の言葉「どっちの家も滅んでしまえ!」。物語の最後にはマキューシオの言葉通り、キャピュレット家もモンタギュー家も大切なものを失い、以前まで持っていた地位は失ってしまったことは、天国で見ているマキューシオにとって嬉しいことだったのでしょうか。

 

親友を失った悲しみと怒りが抑えきれないロミオもまた、ティボルトのことを殺してしまい、ベンツェーリオの助言によってロミオは逃げ出します。

しかしこの時、ロミオは本物の親友を大切に思う心からティボルトを殺してしまいますが、ロミオを逃がした後、大公に状況を説明するベンツェーリオは、ロミオを心の底から大切に思っていないのかと思わされます。

これはただの私の憶測ではありますが、ベンツェーリオは親友であるロミオに対して少し嫉妬心やジェラシーを感じていたのではないでしょうか。そう考えながら見ると、冒頭のロミオとベンツェーリオの掛け合いも少し皮肉に聞こえるセリフもあるかもしれません。

 

 

 

 

 

ロミオ追放。ジュリエットとの別れ。

ティボルトを殺した罪でヴェローナを去らなければならなくなったロミオ。別れを惜しみ、寄り添いながら最後の時を過ごします。ジュリエットの望みだったら死ぬことさえできると言い切るロミオ。

この時にロミオがジュリエットへかける「大好きだよ」という言葉は、今まで聞いたどんな言葉よりも悲しみと愛おしさを含み、誰もが涙を流さずにはいられない言葉でした。

 

ジュリエットはロミオとの別れを悲しみ涙を流しますが、キャピュレット夫妻はその理由をティボルトの死だと勘違いします。ジュリエットはそれを気づきはしますが、訂正はしない点において、ジュリエットはとても賢い女性なのだなと感じられました。

 

 

 

 

ロミオとジュリエットの死。

ジュリエットが亡くなったと聞き、愛する人が亡くなったら生きている意味がないとジュリエットの墓で死のうとするロミオ。

墓地に隠れていたパリスに対しても、ティボルトに対しても、「俺は自分の名と同じようにキャピュレットを愛さなければならないのだ」と語るロミオ。ロミオという人間がどれだけ愛に溢れた人間なのかということを感じられます。

 

「唇よ、息吹の扉よ、正当な口付けで捺印しろ、全てを買いしめる死神との無期限の売買契約に!」

そういってジュリエットの胸の中で毒薬を飲むロミオは、誰よりも愛に溢れ、誰よりも美しい死を遂げました。

愛する人へが目の前で亡くなっていることに気づき、ロミオがこの世にいないなら自身の死さえも覚悟できるジュリエットもまた、誰よりも強く、自分の意思を決して曲げることの無い素敵な女性だったでしょう。

 

もう少し早くジュリエットが目覚めていたら、もう少し早く神父が墓地を訪れていたら、ロミオとジュリエットが死ぬことはなかったでしょう。もちろん、天国でロミオとジュリエットは2人で誰にも邪魔されることなく幸せに暮らしているのかもしれませんが、できることなら現実世界で、駆け落ちでもいい、幸せになって欲しかったと心から願います。

 

 

 

 

セリフの節々に感じる彼らが中世イタリアのキリスト教を心から信じていること。特にマキューシオに多い上品な下ネタ(上品な下ネタ?)。シェイクスピアの作り上げた世界観はあまりにも美しく、中世ヨーロッパに憧れを抱く現代の人々の気持ちも納得できます。

 

古典作品らしい少しかしこまった表現が散りばめられたセリフ。1度演者の口からセリフを聞き取っただけではなかなかその意味をすんなり頭の中で理解することはできません。だからこそ何度も観にいきたいと思うのだと思います。

 

 

 

 

 

最後になりますが、道枝くんが10代のうちにこれほどまでに素晴らしい舞台に出会えたこと、素晴らしい監督に演出していただけたこと、本当に嬉しいです。まだまだ続くこの舞台が何事もなくすべての公演を終えることと、道枝くんのこれからの俳優人生が素晴らしいものになりますことを心よりお祈り申し上げます。

 

2021.03.31